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TOPページ > ハービー・山口の「雲の上はいつも青空」 > 第94話 『精一杯のエール』


少年の日の思い出  2014
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第94話 『精一杯のエール』

2014年7月下旬、僕は総文祭の写真部門の審査委員長として3日間、茨城県つくば市に滞在した。
総文祭(全国高等学校総合文化祭)とは高校の体育部門で言えばインターハイに相当する大会で、文化部で活動する高校生にとってはとても大きなイベントである。
毎年開催県が変わり、今年は茨城県が担当し、昨年は長崎県、来年は滋賀県と持ち回っている。
この総文祭には全国の県から選ばれ勝ち抜いて来た入選作品が約300点程展示され、全国から約500名の高校生がつくば市に集結した。
僕の仕事はこの300余点から、文部科学大臣賞をはじめとする各賞の審査と講評、そして2日目に行われた、近隣の街を高校生と共に歩く撮影会に参加、そして最終日に1時間の講演会を行うことだった。

真夏の暑さの中、全国の高校写真部の部員たちが元気に集まった。
嬉しいことの一つは以前どこかで見た顔に再会出来ることだ。
今年、あるいは昨年、いくつかの地方の高校写真連盟に依頼されて訪れた時に会った高校生と、またこうして全国大会の晴れの舞台で顔を合わせるのである。

「頑張ってますね!」と声をかけると、彼らは『憶えてくれていたんだ!』と、とても嬉しそうな表情を浮かべてくれる。
1日目は顔合わせという感じのスケジュールだったが、2日目には、3コースに別れて撮り歩きというイベントがあった。 僕は笠間市を歩くコースに参加させてもらった。

焼き物で有名であることは知っていたが、座頭市の故郷でもあるということだった。
素朴な街並が続き、懐かしい佇まいの民家が絵になる。
笠間稲荷神社があり参道にはお土産物屋さんが連なっている。
歩きながら時折質問を受けた。彼女らは高校を卒業したら写真の大学に進みたいという。
例えばAO試験なら、面接官にこういうことを主張してみたらとアドバイスをした。
神社の境内で3名の参加者から、どういう風に撮れば良いのかと相談された。一人の女子の撮影データをカメラの液晶で見せてもらった。
ただプログラムで撮っているだけで自分の世界をまだ持っていなかった。
そこで僕は彼女のカメラを手に取り、プログラムからマニュアルにセッティグを変え、レンズの絞りを解放にした。
近くにあった手水に写り込んだ風鈴にピントを合わせて一枚シャッターを切って彼女に見せた。
空を反射した水面に多少ぼんやりした風鈴の形揺らいでいた。
それは彼女が今まで全く気付かなかった映像だった。
「ええっ!!こんな風に撮れるんですか?」と彼女はまるで別世界を覗いたみたいな驚き様だった。
「これは例えばっていうことでさ。これからは自分ならこう見るんだっていう世界を探してみたらいいさ。」
「成る程、ありがとうございました!」と嬉しそうに彼女はどこかへ向かって行った。そして大きな門のところで母親と一緒の男子が遠慮がちに僕の所に来た。僕に質問することさえためらっている様子のおとなしい生徒だった。

「人に声をかけるのが苦手で、どうしたら良いのでしょうか?」
もっともな質問である。僕もこの彼同様、いやそれ以上に消極的な高校生だったのだ。
「そう、僕も高校の時は人に声をかけるなんて全く出来なかったよ。声をかけた全員からOKが出ることを期待しないで、徐々に慣れるしかないんだけれど、君たちみたいな善良な高校生が声をかけたら、随分の人がOKを出してくれるんじゃないかな。まず、身近な人から声をかけてみたらいいと思うよ。」
彼の風貌は優し過ぎるくらいに優しく、純粋な瞳を持っていたのが印象的で、声をかけるのは誰でもが苦手なんだ、ということが分かっただけでも救われたような表情だった。

それにしても高校生が撮る写真というものは、実に興味深い。ユーモアがあったり、はつらつとしていたり、僕らの年代では気付かないか、見逃してしまうものが写っている場合が多い。
テーマをじっくり構築するというのではなく、本能的に被写体と反応して感覚で撮っている。
上手い写真を撮ろうとしないで、何かが自分のこだわりに引っ掛かったら、そこで撮る。
これが良いんだろう。 確かピカソの言葉である。

「子供は誰でも天才だ!問題は大人になってからも、いかに子供の部分を残しておけるかだ。」

僕自身の高校時代はデジタルカメラではないわけで、例え大人にはない感覚が自分にあったとしても、カメラという高価で複雑な機械に相対しているうちに、折角の感覚が消えてしまったのではないだろうか。
カメラが手の延長位にはなっていたかも知れないが、目の延長、ましてや心の延長にはなっていなかったと思う。
高校時代の思い出が一つある。

港区、東京タワーのすぐそばにある正則高校の写真部の部長をしていた。
ある日曜日、写真部の行事で上野動物園に撮影に行った。自慢のニコンFにネオパンSSを何本か持って行った。
その時代、僕には何をどう撮ろうという世界はまだなかった様で、おぼろげに人を撮ることに関心があった。
どこか自分をポジティブにしてくれるものを探してはいたのだろうけど、人一倍消極的な性格の僕には、素早く被写体を見つけて、自分なりの解釈やアプローチをするなど、遠い遠い世界だった。
その動物園で見かけたのは、何とアサヒカメラなどで写真を拝見したことがある巨匠、木村伊兵衛さんだった。
黒いスーツに黒いメガネは雑誌で見ての通りだった。僕のどこにこんな積極性があったのだろう。

すぐ近くを歩く木村伊兵衛さんに「あのー、木村伊兵衛さんでいらっしゃいますか?」と声をかけてしまったのだ。

写真家になりたいという情熱が、僕をこうした行動にさせたのだろうか。
その僕の声を聞いた木村さんが、「ええ」と一高校生の僕に紳士的な対応を示してくれたのである。
「あの、木村先生の後を、少しだけでも一緒に歩かせて頂いても宜しいでしょうか?!」

対し木村さんは、「ええ、どうぞ」と優しく仰ったのだ。

高校生の僕にとってはあり得ない、夢の様な出来事であった。確か、ブラックのライカであった。
大勢の家族連れの人々に混じりながら動物の檻の横に立ち、さりげなく見上げるアングルで何かを狙っては、そっとカメラを下ろされた。
こうした姿を少しずつ移動しながら、5分だったか10分だったか、僕の少年の心も持ってすれば、映画の中の出来事の様に現実とまぼろしの狭間に立っているかの如くの想いで、木村さんを追っていたのであった。 しばらくすると、正確な記憶にはないが全日本写真連盟、または日本写真家協会と書かれた白いテントの中に消えて行かれ、日陰になった中を覗くとどなたか写真家の方であろうか、椅子に腰掛け談笑を始められたので、僕はお礼を言うこともなかったのである。
結局言葉を交わしたのは、最初の出会い頭の一言だけであった。
仮にもし、僕にもう少しの積極性があり、当時僕が抱えていた悩みとか課題を木村さんにお尋ねしたとしたら、木村さんからの言葉は、17歳だった僕の胸に大切にしまわれ、その一言は50年経った今になっても、僕を支え続けてくれたことだろう。だが当時の僕にとって、木村さんの撮影をそっと後ろから拝見出来ただけで、充分過ぎる刺激と勇気をいただいたのだった。
あれからおよそ50年という長い時間が流れ、今僕は高校生にアドバイスをする立場になったのである。


その夜、トークショーを明日に控えた僕は一人、ホテルのすぐ近くの居酒屋に行きビールを注文した。屋外に置かれたテーブルに座ると暑い盛りの7月ではあっても東京とは違う、だいぶ過ごしやすい風が渡っていた。
長袖でも良い位だった。
日頃のトークショーでは話す内容に事欠かないが、何か一つ高校生向けにサプライズはないかなと頭を巡らせた。
この周辺にはショッピング街やホテルがあって、洒落た一角になっていた。
昼間の青空が一刻一刻暮れなずんでて行く空に対し、ショッピングセンターから放たれる原色のネオンが輝き始めていた。


そこで思いついたのが、知り合いの3名のミュージシャンの顔だった。
そうだ、彼らにメールを送ってみようと思いついた。

「◯×さん。明日、写真部の高校生4〜500名にトークショーをするんですけど、◯×さんだったら何を伝えますか?」
一時間後、人によっては数時間後3人から返信があった。


3日目の最終日、午前10時からトークショーが始まった。写真を通し自分を表現することの意味や素晴らしさ、写真を続けることで得られるものなどを僕の体験と共に語り、終盤に差しかかった所で人間関係の大切さを述べながら、3人の返信の内容を読み上げた。

一人はロンドンからの返信だった。ギタリストのHさんである。

「若者よ、若いのは今だけだ!とか(笑)」
会場には笑顔が走った。

その次は人気グループの作詩作曲家であるTさんである。

「ご連絡が遅くなり大変申し訳ありませんでした! 僕の経験談ですが、職種に関わらずプロの方と接すると、その職種がどんな歴史を辿ってきたのか、どんな偉大な先人のよって受け継がれてきているのか、という歴史に対する造詣が深い方ばかりです。
僕は音楽を作る仕事ですが、突然変異のように、いきなり今まで誰も聴いたことのないような、完全に100%のオリジナリティーのみで構成された音楽を生み出すことは、どんな作曲家でも不可能です。
やはり、偉大な先人によって脈々と受け継がれてきたものに、少しばかりのオリジナリティー(=自分らしさ)を足して、皆、音楽を作っている気がします。

受け継ぎ、学びながら、新しいものを生み出していく、、、。
その繰り返しがやがて文化となり人々の生活を彩る、かけがえのないものになっていくのだと思います。
ですので、先人に対するリスペクトの気持ちを持つ大切さ、そして、きちんと歴史を学ぶということの大切さを、若い世代の皆様にお伝えしたいです。
僕にこのようなお話を頂いてありがとうございました。」

そして3人目は自らも写真が大好きなFさんである。

「ときめきの数だけシャッターを押して下さい!
それが、かけがえのない思い出になるはずです。とお伝え下さい(^▽^)V
連絡遅れてスミマセン!いま海外でして(>_<)」

3人ともそれぞれのセンスや世界観が感じられてとても良いメッセージだった。
その内容もさることながら、こうした人気アーティストが、この会場にいる500名の高校生のためだけにこうした行動に出てくれた、その人間性、誠実さを強く感じるのである。

多くの人が、未来のために若い世代に精一杯のエールを送っている。
それが人の道というものではないだろうか。


           

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