kmtです。
コロナの再拡大がすごいですね。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

では「愛機について」の最終話をw

ベルリンの壁崩壊は私には唐突に飛び込んで来た印象がありました。
当時小6だった私もテレビで見ていたのを覚えています。
(その10年後にドイツ、特にベルリンにいる事になるなんて想像もできませんでしたが)

東西冷戦の終焉。
東ドイツの人々が西ドイツへ大喜びで向かう様子は、世界中で報道されました。
離れ離れになっていた家族が数十年ぶりにまた一緒に暮らすことが可能になったように、カールツァイスもまたオーバーコッヘンを本拠地として、統合されました。(実際にはイエナの極度の業績不振の上での買収劇)
もう元の場所ではなくなってしまいましたが、これで晴れてイエナでもオプトンでもない、カールツァイスが戻って来たのです。

さて、レンズメーカーが統一すると、カメラ本体はどうなるか。
ハッセルブラッドと競合していたペンタコンシックスは不要になってしまうのでは?
その存在意義を失いかけていたペンタコンシックスを引き継いだのが、ツァイスと並びドイツを代表するレンズメーカー、シュナイダーでした。

シュナイダーSchneider-KreuznachはバートクロイツナッハBad Kreuznachに本社を構える光学メーカーです。
ヨーゼフ・シュナイダーが創業したカメラレンズのトップランナー。
そのシュナイダーがペンタコン人民公社を吸収した事に伴い、ペンタコンシックスは「エギザクタ66」に名前を変え、生まれ変わったのです。
通称「ゼブラレンズ」と呼ばれたペンタコンシックスのレンズは、ボディーと共にラバーと金属でブラックを基調に、現代的にリメイクされました。

しかし全てが生まれ変わったかと言うと違いました。
シュナイダーはあくまでレンズメーカーです。外観こそモダンなデザインになりましたが、カメラ本体内部に関しては、ペンタコンシックスの図面をそのまま流用しました。
当然ペンタコンシックスの致命的不具合も引き継がれる事になりました。
巻き上げ不良、コマダブりです。
ただレンズは素晴らしいシュナイダー純正が用意され、消費者を魔の道へと誘います。

50mmフレクトゴンは60mmクルタゴンに、
80mmビオメターはエギザクター(中身はビオメター)に変わり最後は銘玉クセノターになり、
150mmゾナーはテレクセノターに一新されました。
どれもライカマウントにも採用された程の超銘玉達です。

私はこの歴史と、90年代のどこか懐かしいデザインと、シュナイダーのレンズ群に魅せられ、ベルリン滞在時代機材を売って買い替えました。
ハッセルブラッド、ペンタックス67、マキナ67、ベリワイド100、リンホフ220、スーパーイコンタ、ペルケオ、様々な中判カメラを所有しました。どれもすばらしいカメラでしたが、何故か一番手放したくないカメラがこのエギザクタでした。

またマニア垂涎なのが、幻と言っても過言ではない超ウルトラ激レアレンズの存在です。
・40mmクルタゴン(生産計画止まり)
・55mmスーパーアンギュロン(人類未確認)
・250mmテレクセノター(1回だけEbayで見た)
・75-150mmバリオゴン(ヤフオクで1回見た)
・140-280mmバリオゴン(稀に見る)

因みに、私のコマダブりはドイツのバイヤーフォトbaier fotoさんにレストアをしてもらい、ダブっている時はちゃんと分かるようになっています。
ただおそらくバイヤーフォトでかなり調整していただいたらしく、それ以降実際にコマ間がダブった事はありません。

いかがでしょうか。
こんなストーリーのあるカメラ、現代ではなかなか見られないですよね。
もはや愛着しかないですw

因みにExaktaはドイツ語では「エクサクタ」と読みます。「エギザクタ」は英語読みですが、日本ではこちらの表記が多いようなので、それに倣いました。
あとスーパーアンギュロンSuper Angulonは、「ズーパーアングロン」がドイツ語読みです。

ではまた!