TOPページ > ハービー・山口の「雲の上はいつも青空」 > 第25話 『一枚の写真』 ![]() 第24話 『 一枚の写真 』数年前に中野坂上にある東京工芸大の文化祭に行った。色々な展示を見ながら。僕はある教室に入った。そこでは学生達が撮ったオリジナルプリントを販売しているイベントが行われていた。僕の目に止まった一枚の写真があった。どこかアジアの田舎、木が沢山茂っている。道がある。その道に村の子供達が7〜 8 人、横一列に並んで笑顔を見せていた。優しい笑顔である。粒状性がすごく細かかったので中判で撮られたものだろうか。子供達の笑顔がこの写真を撮った学生の心の内を反映している様だった。 何年か経った。今年6月、僕は西新宿のペンタックスフォーラムで個展を開いた。日本写真協会が主催で「東京の肖像」という大きなテーマが揚げられ、このテーマに僕は「MY FAVORITE FACES 」とサブタイトルをつけ、東京で撮影したスナップともポートレートともつかぬ、僕の好きな顔が写った作品を30余点を展示した。ある日、ギャラリーにN君の友人が現れ、彼は病気で治療中だから、励ましの言葉を是非書いて欲しいと僕に頼んできた。 その何週間後、僕は自分のPC でブログ、ハービー・山口を検索したところ800件以上のブログがアップされていて、その中にN君のブログを見つけた。 無念であっただろう、意志半ばにして、その若い生命を落とすとは・・・。僕は数年前に購入したN君の写真に写っていたカンボジアの子供達の笑顔を思い浮かべ、その笑顔を反映されたN君の人柄に思いをはせた。そして生きている我々は、一日一日を大切に、さらに心に正直な写真を撮って行かなくてはならないと改めて思うのであった。 |